【歌い手さん向け】プリプロのススメ

HOW TO

先日ボーカルの先生と話していて

”歌い手さんの方で録音前に「プリプロ」をしていない人が多い”

って話になりました。だから録音のときに必ず事故る。そんなことも言っていました。
確かに、バンドでレコーディングなんかをしたことがない人だと、そのへんの事がよくわからなかったりするのでしっかりと説明をしないといけないと思い、今回は歌い手さんに、録音前にかならず行って欲しいプリプロについて簡単に解説していきたいと思います。

プリプロって何?

そもそも「プリプロ」ってなんだ?ってことなんですけど、正式名称は「プリプロダクション」。
簡単に言えば、本番の録音の前に行う準備のことです。
本来は、バンドなんかで録音するときに、アレンジの確認や、音色、楽器のチェック等を行う作業なんですが、当然歌に関しても、入念な準備と確認を行ってから本番の録音に望みます。

そもそも、何の準備もせずにいきなり録音したらベテランのプロでも事故ります。
録音前には必ず入念な準備が必要です。
なんにも考えず録音していた歌い手さん、これからはしっかりと準備してから録音に望みましょう!

録音前に準備するもの

以下のものは録音前に必ず準備しましょう。

  • 歌詞カード
  • 譜面台(歌詞カードを置く場所)
  • 鉛筆(ボールペンでも可)
  • 飲み物(常温の水がベスト)

歌詞カードはなんとなく準備している人が多いと思うですが、もちろんただ歌詞を書いた紙を用意するわけではありません。後で説明しますが、注意事項やブレスの位置等を細かく書き込んだものを用意します。

歌詞カードは手に持って歌うのではなく、譜面台や壁に貼るなどして、必ず両手を開けた状態で歌いましょう。歌うときは身体は常に自由になるように、また、紙の擦れる音等のノイズ対策にもなります。

鉛筆はミスした所や、リテイクのとき等、録音の際はメモを取る癖をつけましょう。

そして飲み物なんですが、口を潤しておかないとリップノイズ(歌うときに出る”ピチャ”って言う音)が出てしまうので対策のために用意しましょう。

歌詞カードの書き方

歌詞カードに何を書き込めばいいかわからない人も多いかと思いますが、結論から言えば何でも書いてOKです。
メモ代わりに色々書き込んで下さい。
ですが、絶対書き込むべきものがいくつかあって、

  • ブレスの位置
  • 伸ばす長さ
  • 休む長さ
  • アクセント
  • フェイク

は必ず書き込むようにしましょう。

録音は1テイクで終わることはほぼありません。
部分ごとにとったり、数テイクの中から部分ごとにベストなテイクを選定します。
そのため、ブレスの位置や音の長さ、アクセント等毎回バラバラだと上手く繋がりません。
それ以前に、上記のポイントがしっかりと確認できていないと良いテイクはまず録れないでしょう。
また、「LaLaLa…」など、歌詞にない部分も必ず書き込んでおきましょう。

歌詞カードの書き方をまとめると
どこで息を吸うか、何拍音を伸ばすか、何拍休むか、アクセントの位置、フェイクを実際に歌ってみて確認しながら、しっかりと書き込んでおきましょう。

ここからは、実際の流れに沿って本番の録音までに何をしたら良いか解説していきます。

機材の準備

マイクを立てたり、PCやインターフェースの設定をします。
ノイズが入りにくい場所にマイクを立てるのはもちろんですが、一人で録音する場合は歌いながらPCやインターフェースの操作ができるよう、機材の配置にも気を使いましょう。

クリックやオケの音量確認

実際に歌ってみて、クリックやオケと自分の声の音量を歌いやすいレベルに合わせていきます。
音量感は完全に好みなので、聴きやすいように合わせましょう。
あと、オケをMONOにすると歌いやすい場合があります。

クリックは聴かない、って人結構多いと思うんですが、よっぽどでないかぎり聴いたほうが良いと思います。クリックを聴いていないとブレイクの部分など、事故っている人が結構多いです。
曲にもよりますが、慣れていない人ほどクリックは聴く方が良いと思います。

マイクの位置、レベル確認

オケやクリックのレベルが決まったら次にマイクと口の距離やインプットレベルを細かく調整していきます。
1コーラス程度歌ってレベルオーバーしていないか、またレベルが低すぎないか、マイクと口の距離は適切かなどを判断していきます。
何度か歌ってみて、確認していきましょう。
注意事項として、休憩などを挟むとマイクとの距離が変わってしまう人は結構多いので、立ち位置に目印をつけておくなど対策をしましょう。

テストで歌ってみる

ここまで来たら次は通して歌ってみます。
部分ごとに録音する場合も一回は通して歌ってみることをおすすめします。
最初から部分ごとに分けて歌う方がいますが、基本はすべて通して歌うことを心がけましょう。
その上で、無理そうな所を分ける等の判断をしていくという作業をここで行います。
その他にも歌い方の確認、例えば、Aメロは静かでサビで盛り上がる曲なんかで、Aメロとサビをどの程度差をつけたら良いかの確認をしたり、オケのフレーズが歌にかぶってきそうなところを強く歌ったりなど、確認してメモしていきましょう。
そして、気になる部分を実際に歌ってみて確認します。

本番録音

ここまでやって、歌い方、録音の手順等すべて完璧にしてやっと本番。
しっかりと確認ができていればスムーズに録音も進むと思います。

まとめ

なんとなく歌って録音してしまう歌い手さんは意外と多いと思います。
実際にMIXの依頼を受けていても、確認不足で歌ったんだなー、と感じる方も大勢います。
時間をかければいいと言うものでもないですが、こういった確認を含めると3時間程度は一曲録り終わるのにかかると思います。
録音するのって意外と時間がかかるんですよ…
もちろん、事前にプリプロを済ませて別日に本番というのも全然ありです!

録音する際は、しっかりとした準備をして録音に挑みましょう!