【歌を前に押し出す】MIXの必殺技!

MIX

今回は、歌ってみたをMIXしている際に、どうしても歌声が埋もれてしまう場合の必殺技を書いていこうかと思います。
ちょっと全体的に料理で言えば「味の素」的な処理になりますので使用は十分に注意してください。

歌声が埋もれる要因

で、本題に入る前に歌声が埋もれてしまう要因についていくつか紹介しておきます。
これを見直すだけで歌がグッと前に出てくる場合もありますので、まずはこちらを見直しみましょう。

オケの音が大きすぎる、過剰な処理をしている

まずこれ。かなり初歩的なことですがオケが歌に比べて大きすぎる、もしくはEQなどで過剰にブーストしている場合です。
オケの音が明らかに歌声に勝っていると、どんな処理を行っても歌声をしっかり聴かせることは不可能です。フェーダーを下げましょう。
また、迫力を出すために過剰なEQを施していると高音から低音までパンパンになってしまい、歌を入れるスペースが無くなってしまいます。そもそもオケなどの2MIXはある程度元から完成されているので過剰なEQ処理は禁物です。(狙ってやっている場合を除いて)
EQ処理は広めのQで±5db程度にとどめておきましょう。
おすすめの処理はドンシャリ気味にすることです。

  • 60Hz〜100Hz付近を3db程度ブースト。
  • 8kHz付近を3db程度ブースト。
  • 600Hz〜1KHz付近を3db程度カット

ざっくりですが、こんな感じであれば大抵の曲の場合、歌のスペースが確保でき、かつ適度な迫力が出ます。周波数は曲の雰囲気に合わせて微調整してみてください。

歌声に過剰なEQ処理をしている

次に結構多いのがとんでもなく極端なEQ処理をしている場合です。
EQはカット方向の使い方が基本です。ブーストする場合もありますが、あくまで余分な帯域が適切にカットされている前提です。
また、人間の声は過度なEQ(ブーストもカットも)をすると違和感を感じやすいので程々を心がけましょう。

コンプのかけすぎ

コンプをかけすぎるとどんなに頑張っても歌は前に出てきません。
特にアタックが早い設定の過剰なコンプは歌を遠ざけます。メインボーカルの場合リダクションメーターが5db以上振れっぱなしになっていることは、特別な場合を除きあまり良い状態とは言えません。
声を張り上げるような大きく歌うところだけにかかるイメージで慎重に設定しましょう。

リバーブかけすぎ

これはスローバラードなんかでよくあるミスです。
オケの音数も少なく、バラードですから深いリバーブをかけたくなるのはわかりますが...程々にしましょう。
あと、深いリバーブを掛ける場合プリディレイは結構長めに取りましょう。
60msから場合によっては100ms言ってしまっても問題ありません。
また、リバーブの低音をカットしておかないとモワモワするばかりで歌の明瞭度が下がりますので200Hzくらいからカットしてしまいましょう!

そもそも録音でミスっている

録音された声の素材が悪い場合どうあがいても歌を前に出すことは不可能です!
録音し直しましょう。
よくあるのが

  • マイクから離れすぎ
  • 録音レベルが小さすぎてノイズの方が大きい
  • レベルオーバーで歪んでいる

この3つはよくあるので注意しましょう!

歌を前に押し出す処理

さて、上で紹介したような事がなければここで紹介するような必殺技を試してみましょう。

【攻めのEQ】高域ブースト

まずは攻めのEQ、高域のブーストです。
7kHz付近から3,4db程度シェルビングでブーストしてみましょう。
歌声の抜けがよくなり明るい印象になります。
合わせて200Hz〜250Hz付近の低音を2,3dbカットすればさらに聴きやすくなります。
また、迫力が無いなーと思ったら300Hz付近を2db程度ブーストするとグッと迫力が出てくると思います。

パラレルコンプ

次はパラレルコンプです。ニューヨークコンプとも呼ばれているのですが、要はめちゃくちゃ深いコンプに素の音を混ぜることです。
素材をコピーして作ってもいいですし、バスに送っても良いのですが、アタックとリリースを早めに設定したコンプでぶっ潰しましょう。
素の音と適切なバランスを取れば、アタックが潰れ、少し歪み気味な迫力のある声と、ナチュラルなアタックを併せ持った声になります。

声を歪ませる

歪ませると言っても、ギターのディストーションのようにガッツリではなく、歪んでるか歪んでないかの微妙なラインで歪ませます。
どのDAWにもディストーション系のプラグインは入っているかと思いますので、歪のパラメーターをほんの少しだけ上げましょう。
効果は抜群です!

エキサイターをかける

MIX初心者はあまり馴染みがないかもしれませんが、倍音を追加してきらびやかさや迫力を出すエフェクターです。
先に紹介した声を歪ませるのと似ていますが、こちらのほうがよりはっきり効果がわかると思います。

リミッター/マキシマイザーをかける

マスタリングのときに使うようなリミッターやマキシマイザーをボーカルトラックに使います。
スレッショルドを少し下げるだけ、もしくは通すだけでも、歌声が顔面に迫ってくるような音になります。
ただ音量が露骨に上がりますので、アウトプットで下げることは忘れないようにしましょう。

まとめ

今回紹介したものも、あくまで適切に処理された声に対して行わなければ効果は薄いかと思います。
何事も用法用量を守って正しく使うことが大切です。
まずはしっかり下処理をしてから、こういった必殺技を使っていきましょう!