テキトーセッティングで使えるリバーブの解説

EFFECTS

EQ、COMPと来たら次はリバーブ!
この3種類を抑えておけば普通にMIXする分には全く問題ないでしょう。
ただ、多くの方が思うようにリバーブってなんかパラメーターがややこしいし、使い方がよくわからない、お風呂になってしまうなど、変化がわかりやすいが故に混乱を招く部分もあるかと思います。
今回はそんなリバーブを簡単に解説していきます。

リバーブとは?

そもそもリバーブってなんぞや⁉って話ですが、ズバリ「残響」を付け加えるエフェクトです。
ホールやお風呂なんかで”わーん”と響くあの感じの事で、実はカラオケの「エコー」とは厳密には違うんですが、まぁ些細な問題なのであまり気にしなくていいと思います。

リバーブの種類

一口にリバーブと言っても種類はいろいろあります。まずはザックリその種類を見ていきましょう。

Hall(ホール)タイプ

コンサートホールなんかの広い空間をイメージしたタイプのリバーブ。やや低音がふくよかな感じの音がします。
自然な響きなので一番よく使うタイプのリバーブです。

Room(ルーム)タイプ

レコーディングスタジオなど狭い空間をイメージしたリバーブ。かなり自然な音色で元音が少しだけ華やかになる。
MIXのときはほぼ全てのトラックにかけます。

Chamber(チェンバー)タイプ

エコーチェンバーっていうアナログのリバーブ装置を再現したタイプなんですが、要は風呂場とかトイレみたいなメチャクチャ反響するところにマイクを立てて収録していたようなものです。
ワンワン響く濃厚な音色です。

Spring(スプリング)タイプ

スプリングリバーブはギターアンプなんかについているバネ式のリバーブのことです。
”ビョーン”といった独特の音がします。
ナチュラルな響きというよりはガッツリエフェクトとして使用することが多いです。

Plate(プレート)タイプ

鉄板を利用した響きを使ったリバーブ。
広域の伸びがとてもきれいで深めにかけてもイヤミがないのでボーカルに最適。
こちらもエフェクトとしての使用が多いです。

その他

他にもゲートリバーブやチャーチリバーブなど様々な種類がありますが上記に上げたものだけ覚えておけば一般的なMIXではまず困ることはないでしょう。
また、リバーブには一般的なデジタルリバーブの他にコンボリューションリバーブというものもあります。
これは、デジタル処理で擬似的な残響を作り出すのではなく、実際の空間の響きをデータとして収録して再現するものです。デジタルリバーブよりリアルな響きが得られる分、PCへの負荷が高く複数使用はおすすめできないのと、物によっては案外キャラクターが強いので使い所を見極めないといけません。

リバーブのパラメーター

次にリバーブの基本的なパラメーターを紹介します。
プラグインの種類によって様々なパラメーターがありますが、ここで紹介するもの以外はプリセットを使用すれば基本的に問題ないと思います。
ここでは非常にシンプルでわかりやすいのでWavesのRverbを例に出してパラメーターの解説をしていきます。

リバーブタイプ

先ほど説明したリバーブの種類を選択する項目です。
ここはあまり細かく考えるのではなくいろいろ変えてみて合うものを選択しましょう。

プリディレイ

プリディレイはリバーブがかかり始める時間(距離)を決めるパラメーターです。
曲のテンポにもよりますが、ボーカルにはワリと長めに設定することが多いです。
単位はms(ミリセカンド)=0.0001秒です。

リバーブタイム

「ディケイ」や、単純に「タイム」と表記される場合もあります。
リバーブが消えるまでの長さを決めるパラメーターです。あまり長くしすぎると歯切れの悪いサウンドになっています。
単位はs(セカンド)=1秒です。

サイズ

「ルームサイズ」または「Depth」などと表記されることもあります。
その名の通り部屋の大きさを決めるパラメーターです。広い部屋と狭い部屋のひびきの違いを想像してもらうとわかりやすいと思います。
誤解を恐れずに言えばリバーブの濃さみたいなものです。(厳密には違いますが)

ディフュージョン

「拡散」という意味で残響の広がりを調節します。音のぼやけ方、と表現しても良いかもしれません。

アーリーリフレクション

「初期反射」という意味で、実は今までのパラメーターには影響しないパラメーターです。
残響というよりはディレイに近く、一番最初に聞こえる反射音のことです。
人間はこの音を聞いて空間の広さ、つまりどんな場所にいるのかを認識します。
他のパラメーターよりわかりやすいのでいろいろいじってみましょう。

リバーブのセッティング方法

リバーブは一般的に「センドリターン」で使用します。原音とリバーブを混ぜて使うイメージです。また「センドリターン」で使用する事によって複数のトラック(オケとボーカルとコーラス等)で同じリバーブを共有することができます。
特別な理由がない限りPostで送るようにしましょう。
DAWのルーティングに関してはまた別の機会に説明します。

失敗しないリバーブの設定

何かと複雑な感じがするリバーブですが、実はある程度設定の目安があります。
なんだかよくわからない人はここでで紹介する設定から微調整すればある程度は間違いないと思います。
あくまで歌ってみたのMIX(カラオケとボーカルのみ)に関しての設定ですのでご了承下さい。

リバーブ本体の設定

まずはリバーブのプラグインの設定ですが、プラグインに用意されている【プリセット】をそのまま使いましょう!
こう言うと身もふたもないのですが、はっきり言ってそれで十分です。
リバーブ本体の設定はかなり細かい追い込みになってくるのでわからないならプリセットを使うのが一番です。
一応、一般的な歌ってみたのMIXでのセッティッグを書いておくと

  • オケと歌のをなじませるためのHall系リバーブ1種類
  • オケと歌に艶を与えるためのRoom系リバーブ1種類
  • ボーカル、ハモリなどにかけるエフェクトとしてPlate系リバーブ1種類

この3種類くらいで大丈夫です。
プリセットを使えば問題ないですが、一応最低限の目安として

  • リバーブタイムは長くても2sまで
  • プリディレイはHall系、Room系は10ms~20ms、Plate系は40ms~100ms

このくらいを目安にすれば破綻することはないでしょう。
あと、リバーブの後段には必ずEQでローカットをしましょう!リバーブの種類によってはEQが内蔵されているものもありますが、150Hz〜250Hzくらいからバッサリ切って大丈夫です。
というのも、低音はリバーブをかけるとモヤモヤしてなんのことかわからなくなってしまいます。
普通バンドのMIXでは、キックやベースといった低音パートには特別な理由がない限りリバーブはほとんどかけません。(もちろんバンドのMIXでもリバーブのローはカットします)
ですから、特別な狙いがない場合ローはカットしてしまいましょう。

リバーブの音量

実はリバーブは細かいパラメーターの設定より原音とのバランスが最も重要です。
パラメーターは本当にプリセットをそのまま使っても大した問題になりません。
そしてリバーブが上手くいかない理由の大半はリバーブが大きすぎる事にあります。ぱっと聴いてリバーブが聞こえてくるようでははっきり言って大きすぎます。
このリバーブの大きさにもある程度目安の値があって、センドの値が[-20〜-15]くらいを目安にしましょう。
このぐらいだとソロで聴くとギリギリ聞こえるくらいでオケと混ざると聴こえなくなると思います。
リバーブを目一杯上げたくなる気持ちはぐっとこらえて、聞こえるか聞こえないかくらいの設定を心がければお風呂場で歌っているようにはならないでしょう。

まとめ

リバーブは効果がわかりやすいのでなんとなくかけすぎてしまいがちですが、あくまで隠し味です。
隠し味は隠したままにしておきましょう。